愛する貴女へ
施設から連絡を頂き
面会に行ってまいりました
久しぶりに逢った貴女の笑顔が
以前にもまして
素晴らしく素敵だったから
嬉しくて たまらずに
思わず
強く抱きしめてしまいました
職員の方は
もう 誰が誰かという認識もできないし
人らしい会話も
ほとんど成り立たないと言ったけれど
動画を観ながら
昔よく歌ってくれた歌を歌うと
嬉しそうに 一緒に歌ってくれた
何を話しかけても
うん うん
と 頷くばかりだったから
会話は諦めていたけれど
「デイサービス楽しい?
大好きな歌がうたえて良かったね!」
と話しかけると
「そこのドアの所に
スケジュール貼ってくれてるから
毎日 楽しみに見てるんだよ!」
と嬉しそうに応えてくれた
昔 娘がプレゼントしたぬいぐるみが
布団に埋まっていたので
枕元に座らせると
大事そうに抱き上げて
やさしく毛布をかけ
寒気が入らないよう
しっかりと隙間を埋めて
赤さんにするように
ポンポンと寝かしつける動作をする
此れを
女神の微笑み と言うのだろうと
ぼんやりと考えていると
止めどなく 雫があふれ出して
「一緒に帰ろう」
と 言えない自分が
情けなくて
悔しくて
どうしようもなくなった
親孝行のひとつも
まともにさせてもらう事ができない
私には
歌ってあげることしかできない
こんな 親不孝な娘を
どうか
御許しください